村上龍 限りなく透明に近いブルーってどんな本?

こんにちは、ひろです。

 

 

みなさん、芥川賞を受賞した本で最も売れた本は何か知っていますか?

 

そう、この前ご紹介した「火花」なんです。

 

「火花」が出版されたのは2015年。ならそれまでの1位、つまり現在の2位はなんの本か皆さんご存知ですか?

 

それが今回ご紹介する村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」なんです。

 

 

この本はとにかく暗い。人間の欲、苦悩、ただそれだけを描いているような本。

 

最後の最後までこの本の文章から未来や希望が見えてくることはない。しかし、この本そのものには未来へのエネルギー、そして希望が詰まっている。

 

これこそが、この本が芥川賞をとり、さらには多くの人がこの本を手に取った理由であると僕は思う。

 

 

この本の登場人物はドラッグ、セックス、そして愛憎に溺れた若者たちだ。皆人生に疲れ、将来に望みを持っていない。だからこそ快楽に溺れて未来を見ないようにする。

 

そんな彼らの姿はとても人間らしい。しかし、彼らの人間らしさ、さらには我々に強く印象づける彼らの姿の真実はここではない。

 

彼らは人生を諦めたわけではないのだ。皆明るい未来、将来を掴みたいと願っている。現状を変え幸せになりたいと願っている。今の状態が幸せだと体に言い聞かせるが、本当はそう出ないことがわかっている。

 

しかし、彼らに自分の人生を変える知恵、能力はない。さらに言えば彼らは努力しようとはしない。ただ、いつか未来が変わることを願っているだけ。

 

傍から見ればどうしようもない人間に見える。しかし、僕達は彼らとは違うのか?本当に未来に向けて努力できているのか?幸せに過ごしているのだろうか?

 

僕自身、未来を変えたいと思いながらも努力や行動をしないことは多かったし、今もそんなことばかりで生きているかもしれない。

 

だからこそ彼らにとても共感することができた。おそらく多くの人が彼らに共感できるのではないかと思う。彼らは人間の本当の姿であるから。

 

主人公の名前は「リュウ」。村上龍さん本人がモデルになっているのかどうかは僕の知るところではない。

 

しかし、村上龍さんは芥川賞をとった。

 

どうしようもない人間、気力のない人間、かつてそうであったとしても人間は変われる。そして夢を掴むことができる。

 

村上龍さんはこの本にそのメッセージを託したのではないか。だからこの本のエネルギーは凄まじい。

 

僕はこの本を読んで文学にハマることとなった。皆さんもぜひ読んでみてください。